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【LTE B19】Xperia GXとXperia SXのNTT docomoプラスエリア対応化(LTEデュアルバンド化)について

Xperia GXとXperia SXのNTT docomoプラスエリア対応化(LTEデュアルバンド化)についてです。対応バンド書き換えによってLTE B19を掴んで通信することが出来ます。
書き換える内容や具体的な方法などを書いています。
※書き換えにはroot権限が必要になります。

2016/4/23…詳細な書き換え手順を追記
2015/5/1…Xperia SXでも全く同じ方法で対応可能であるという報告があったため、各所を修正

プラスエリアとは

プラスエリアとは、NTTdocomoサービスエリアの内、800MHz帯(WCDMAのBand6,19、LTEのBand19がサービスされている地域のことを言います。
この帯域は、他の帯域では電波の届きにくい山間部や都市部のビルなどで使われているため、プラスエリア対応/非対応によって通信利便性が左右(特に、地方部で)されます。

プラスエリアのみがサービスされている地域はこちら(FOMA/Xi)から確認可能です。(FOMAは凡例の「FOMAプラスエリア」が、Xi(LTE)は凡例の「LTEエリア(800MHz)」が該当)

なお、表示されているのは800MHz帯のみがサービスされている地域であり、表示以外の地域でもサービスされている場合があることに注意が必要です。
オレンジで表示されているのが800MHz帯LTEエリア
NTTdocomoから販売されている最近の端末はもちろんフルに対応していますが、海外端末や初期の国内端末などは対応していないことが多いです。

Xperiaにおいては、最新機種であるXperia Z3は海外版も最初から対応しているももの、それ以外や以前の機種については対応していません。

なお、国内キャリア各社のサービスバンドは以下の通りです。(赤丸がプラスエリア周波数帯:800MHz)

WCDMA(3G) 16891119
NTTdocomo
SoftBank
Y!mobile

LTE(4G)13811181921262841
NTTdocomo
SoftBank
Y!mobile
au
※auのBand26に関して、MFBI方式(Multi-Frequency Band Indicator)でB18をB26として運用
※Band28に関して、2015年以降に運用開始

NVの書き換えとRFNVの移植

対応バンドの書き換えに関する基本的な情報はこちらの記事を参照して下さい。

Xperia GXとXperia SXの対応バンドと移植元について

Xperia GXとXperia SXは、以下に示したバンドに対応しています。
  • WCDMA…Band:1/6/19
  • LTE…Band:1
LTEについては、まだNTTdocomoがLTE B1しかサービスしていない時期に販売されたため、B1のみの対応(シングルバンド)となっており、他の端末と比べると使用できるエリアが狭くなってしまっています。

一方、Xperia GXとXperia SXの後継として販売されたXperia AXでは、以下に示したバンドに対応しています。
  • WCDMA…Band:1/6/19
  • LTE…Band:1/19/21
Xperia AXは、B19/21のサービスを見越して販売されていたため、B1に加えB19/21に対応しています。

このXperia GX/SXとAXですが、ハードウェア構成(SoCやモデム)がほぼ同一であるため、NVの書き換えに加えてXperia AXのRFNVを移植することで、Xperia GXとXperia SXでもLTE B19やB21が使用できる可能性(デュアルバンド化)があります。

実際に、こちらで検証されている通り、LTE B19には対応可能で、通信も問題なくできることが確認されています。(他の検証によると、LTE B21については対応不可能だった模様

※Xperia Z1 f SO-02Fから移植(必要なRFNVの内、全てまたは一部)しても対応できるそうですが、不安定になったとの報告もあったため、今回は全てXperia AXから移植しました。

具体的な方法

書き換えが必要な項目は、NV(NVM)の6828番です。また、RFNVの移植も必要になります。

全体的な流れは以下の通りです。
  1. NV(NVM)の6828番を書き換え、LTE B1/19を有効化(デフォルトにLTE B19を追加)
  2. LTE B19関連のRFNVをXperia AXから移植
RFNVについては、Xperia AXとXperia GX/SXとで差分(全108ファイル)を取り、その内容を解析し、LTE B19関連と不明なものの全6ファイルのみを移植しています。

※書き換え時のROMは、純正ROMやその他Sony製ROMの他、こちらで154氏が配布している非公式版CyanogenMod12/12.1でも問題ありません。


今回は、Xperia GX(非公式版CyanogenMod 12.1導入済み)を例にして紹介します。
※Xperia系ROMではDIAGモードに切り替えるコマンドが異なります。(setprop persist.usb.eng 1)

事前に必ずバックアップを!

書き換えに失敗すると、端末が全く起動しない・通信ができない状態になる場合があります!

ftfで元に戻せるようにしておくだけではなく、念のためパーティションのバックアップ(特に、modemやefs)を取っておくことを強くおすすめします。

DIAGモードで端末とPCを接続

XperiaをDIAGモードで接続し、ツールを使って書き換えられるようにします。

なお、端末がroot化されている必要があります。

DIAG用ドライバの用意

Xperia GXをDIAGモードで接続するためのドライバを用意します。

ただし、専用ドライバは公開されていないため、HTC向けのドライバを書き換えて使用します。
※64bit版Windowsでの手順です。32bitの場合は使用するファイルが異なるので、後述する注意を参照して下さい。

  1. こちらから「HTC Diag Drivers.zip」をダウンロードして、解凍する。
  2. Win x64」フォルダを開く。
  3. HtcUsbMdmV64.ini」をメモ帳やワードパッドなどで開く。
  4. 開いたら少し下にスクロールし、「[Models.NTamd64]」と書かれた部分を探す。
  5. [Models.NTamd64]」の一番下に、一行開けて「%OEM00% = Modem0,  USB\VID_1004&PID_631B&MI_02」と追記する。
    ※Xperia SXの場合は「%OEM00% = Modem0,  USB\VID_0FCE&PID_5146&MI_04」
  6. 保存して閉じる。
これでXperia GX向けにドライバを書き換えることができました。

なお、32bit版Windowsを使用している場合、「Win x86」フォルダの「htcdiag.ini」を書き換えて下さい。
書き換え手順は上記と殆ど同じですが、[Models]部分に「%OEMDevice03% = OEMPort02, USB\VID_1004&PID_631B&MI_02」と追記して下さい。
※Xperia SXの場合は「%OEMDevice03% = OEMPort02, USB\VID_0FCE&PID_5146&MI_04」

端末をDIAGモードに切り替え、ドライバをインストール

※事前に、adbコマンドを使用できるようにしておく必要があります。詳しくはこちらの記事を参照してください。

Windows 8以降を使用している場合、署名なしドライバをインストール出来るようにしておく必要があります。こちらこちらを参考に、署名チェックを回避出来るようにしておいて下さい。
  1. 端末をデバッグモードに設定し、PCとUSB接続する。
  2. PCでコマンドプロンプトを開く
  3. adb shell」と入力し、「Enter」キーを押して実行する。
  4. su」と入力し、「Enter」キーを押して実行する。
    ※端末にroot権限の使用確認画面が表示されたら、「許可」して下さい。
  5. setprop sys.usb.config diag,adb」と入力し、「Enter」キーを押して実行する。
    ※Xperia系ROMでは、「setprop persist.usb.eng 1」と入力し実行後、USBデバッグをOFF→ONして下さい。
  6. PCでデバイスマネージャを開き、「ほかのデバイス」にいくつかデバイスが表示されていることを確認する。
  7. 表示されているデバイスを右クリックし、「プロパティ(R)」をクリックして開く。
  8. 詳細」タブをクリックする。
  9. 「プロパティ(R)」下のリストをクリックし、「ハードウェアID」をクリックして表示させる。
  10. 表示されているIDを確認する。
  11. 手順7~10を繰り返し、IDの末尾が「02」なデバイスを探す。
    ※Xperia SXの場合は末尾が「04」。
  12. 末尾が「02」なデバイスが見つかったら、「プロパティ」画面の「全般」タブを開き、「ドライバの更新(U)...」をクリックする。
  13. コンピューターを参照してドライバー ソフトウェアを検索します(R)」をクリックする。
  14. コンピューター上のデバイス ドライバーの一覧から選択します(L)」をクリックする。
  15. すべてのデバイスを表示」が選択されていることを確認し、「次へ(N)」をクリックする。
  16. ディスク使用(H)...」をクリックする。
  17. ファイル指定画面が表示されるので、「参照(B)...」をクリックして「DIAG用ドライバの用意」で書き換えたドライバ(htcdiag.ini)を指定する。
  18. OK」をクリックする。
  19. HTC USB Modem」が選択されていることを確認し、「次へ(N)」をクリックする。
  20. ドライバのインストールが始まるのでしばらく待つ。
  21. ドライバを本当にインストールするか聞かれるので、下の「このドライバー ソフトウェアをインストールします(I)」をクリックする。
  22. 「ドライバー ソフトウェアが正常に更新されました。」と表示されていることを確認し、「閉じる(C)」をクリックする。
  23. 「モデム」に「HTC USB Modem」が表示されていることを確認する。
これでドライバがインストールできました。

NV(NVM)とRFNV(EFS)の書き換え

今回は、書き換えツールとして無料の「DFS CDMA Tool」を使用します。このツール1つで、NV(NVM)とEFS(RFNV)の移植を行うことが出来ます。

※インストールや詳しい使用方法などは、こちらの記事を参照して下さい。

必要なファイル

予め、移植するRFNVをダウンロードし、解凍しておいて下さい。
  • Xperia AX SO-01EのRFNV(LTE B19関連)
     こちらから「SO-01E rfnv 6 diff SO-04D LTE B19.zip」(全6ファイル)をダウンロードします。

NV(NVM)の書き換え

まずは、NVの6828番を以下の通りに書き換えます。
  • 6828番(LTEプラスエリア対応)
    Band:1/19を有効
    • 2進数:1000000000000000001
    • 10進数:262145
    • 16進数:40001
他のツールの場合、このような値を直接入力して書き換えます。

一方、今回使用する「DFS CDMA Tool」では表示されているバンド一覧にチェックを付けて変更し、書き換えます。
こちらの方が視覚的にわかりやすいのでオススメです。
  1. DFS CDMA Tool」を起動する。
  2. 「Port Name」が「HTC USB Modem」であるデバイスをダブルクリックし、接続する。
  3. 「Port」列にアイコンが表示され、接続されたことを確認する。
  4. Band」タブをクリックする。
  5. LTE」タブをクリックする。
  6. 下の「Read」ボタンをクリックし、端末で有効になっているバンドを取得する。
  7. Band 1 2100」のみにチェックが入っていることを確認する。
  8. Band 19 800 Upper」にチェックし、「Write」ボタンをクリックして書き込む。
  9. カウントダウンが終わるまでしばらく待つ。
    ※DEMO版だと待ち時間がかかります。
  10. 下の「Read」ボタンをクリックし、端末で有効になっているバンドを取得する。
  11. Band 1 2100」と「Band 19 800 Upper」のみがチェックされ、書き込んだ内容が反映されていることを確認する。
これでNV(NVM)の書き換えは終わりました。続いて、RFNV(EFS)の移植を行います。

RFNV(EFS)の移植

Xperia GXやXperia SXに存在しないLTE B19関連の6つのファイルを移植します。

  1. 上にある「EFS」をクリックする。
  2. カウントダウンが終わるまでしばらく待つ。
  3. 左上の「Read EFS2」をクリックする。
    ※必ず「Read EFS2」をクリックして下さい!「Read EFS」で読み込むと正しく書き込まれません!


  4. nv」の左の「+」をクリックする。
  5. 表示された「item_files」の左の「+」をクリックする。
  6. 表示された「rfnv」をクリックする。
  7. 端末内にあるRFNVが表示されたことを確認する。
  8. 解凍した「LTE B19関連の6つのファイル」をRFNVウィンドウ上に1ファイルずつドラッグ&ドロップする。
    ※ドラッグ&ドロップしたら、書き込み終了まで少し待って下さい。(画面がちゃんと表示されるまで)
    ※6つ全てドラッグ&ドロップして下さい。
  9. 左上の「Read EFS2」をもう一度クリックする。
  10. ウィンドウ内をスクロールし、ドラッグ&ドロップした6ファイルが存在していることを確認する。
  11. EFSウィンドウを閉じる。
  12. 「DFS CDMA Tool」を終了する。
これでRFNVの移植が完了しました。

全ての作業が完了したら、端末を再起動して下さい。LTE B19が掴めるようになっているはずです。

検証

検証端末

  • 端末
     Xperia GX SO-04D
  • Androidバージョン
     Android 5.0.2 Unofficial CyanogenMod12(ダウンロード先はこちら
  • ビルド日時
     2015年1月11日 日曜日 02:09:24 JST

検証内容

上記の方法を行った後、6828番をBand19のみ有効にし、NTTdocomoにLTE接続できるかを検証しました。

検証時には、LTE Onlyに設定しました。

対応バンド

  • 書き換え前
    LTE…1
  • 書き換え後
    LTE…19(本来は1/19)

検証結果

電波を掴み、LTE接続と通信を行うことが出来ました!
EARFCNは「6100」となり、確実にLTE B19を掴めていることが確認できました。

また、電波強度もLTE B1の時と変わらず、非常に安定しており、常用も問題無さそうです。

その他

RFNVの詳細

移植するRFNVの名称はそれぞれ以下の通りです。
  • 00022969…RFNV LTE B19 TX MULTI LIN DATA I
  • 00023081…RFNV LTE B19 RX GAIN
  • 00023082…RFNV LTE B19 RX GAIN VS FREQ
  • 00023112…RFNV LTE B19 EXP HDET VS AGC
  • 00023125…RFNV LTE B19 C1 RX GAIN VS FREQ
  • 00024200…RFNV LTE B19 C1 RX GAIN I

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