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【レビュー】「Xperia X Performance」のカメラ性能をチェック―精細感が高いが、気になる点も

Xperia X Performanceでいろいろなものを撮影し、カメラ性能をチェックしてみました。
また、カメラに関して使ってみて感じたことなどを合わせて書いてみました。

Xperia X Performance

Sonyは2012年よりフラッグシップ端末「Z」シリーズを展開してきましたが、2016年からは「X」へと受け継がれました。

その「X」シリーズ第1弾として発表されたのが「Xperia X Performance」。
5インチ画面にSnapdragon 820、RAM 3GBなどを搭載した最新のハイエンド端末です。

そんなXperia X Performanceを、Xperiaアンバサダーで発売前にお借りすることが出来ましたので、今回はいろいろなものを撮影してカメラ性能をチェックしてみました。

また、カメラに関して使ってみて感じたことなどを合わせて書いてみました。


なお、今回お借りしたのはSoftBank版である「Xperia X Performance 502SO」のホワイト色です。他のキャリア版ではソフトウェアやロゴの入り方などが異なるのでご注意下さい。

精細感のある仕上がり

スマートフォンのカメラで撮影する際は、細かい設定をいじらずそのまま撮る方が多いと思います。

ということで、今回はいわゆる"オートモード"であるプレミアムおまかせオートで全て撮影してみました。
プレミアムおまかせオートでは、シーン判定やHDRのON/OFFも自動で行われます。

なお、長辺1500pxに縮小してあります。(クリックして拡大)
本来は2,300万画素(5520 x 4140px)です。
あじさい
大阪城
花見小路通
花びらや水滴、建物の輪郭がくっきりと表現されており、シャープな仕上がりになっていると思います。

同じ画像を拡大したものがこちらです。(倍率は全て同じ)
あじさい(拡大)
大阪城(拡大)
花見小路通(拡大)
若干ノイズが入ってるかな?という感じがしますが、拡大したとは思えないほど像の崩れが無くとても綺麗です。
最初からこれで撮ったと言われても全く違和感はありません。

高い精細感のある仕上がりなカメラですね。

明るさのダイナミックレンジが狭い?

DxOMarkで高い評価を受けているNexus 6Pと比較してみました。

こちらは長辺を2枚で2000pxに縮小しています。(クリックで拡大)
また、共にHDRはオートにしています。左がXperia X Performance、右がNexus 6Pです。


空の色を見るとわかると思いますが、Xperia X Performanceは明るめです。
また、共に雲の部分が白飛びしていますが、Nexus 6Pは社殿の中まで写せています。一方、Xperia X Performanceは黒潰れ気味です。
八坂神社(左:Xperia X Performance / 右:Nexus 6P(HDR:オートON)

同じくXperia X Performanceは明るめでNexus 6Pが暗いものの、建物の入口階段までハッキリ写っています。
それに対し、Xperia X Performanceは黒潰れしている上、空が若干白飛びしています。
京都御所(左:Xperia X Performance / 右:Nexus 6P(HDR:オートON)

こちらもNexus 6Pは暗く、若干潰れているように見えるところもありますが、全体的にうまく写っています。
一方、Xperia X PerformanceはNexus 6Pで潰れている建物の影部分まできっちり写せているものの、空は完全に白飛びしています。
通天閣(左:Xperia X Performance / 右:Nexus 6P(HDR:オートON)
全体的な傾向として、Xperia X Performanceは明るめですね。
空が白飛びするほどに明るく振っています。前出の「花見小路通」の画像も空が飛んでいますね。

しかしながら、1,2枚目でわかるように暗い部分はイマイチ捉えきれていません

どうやらNexus 6Pと比べると明るさのダイナミックレンジが狭いようです。
プレミアムおまかせオートでは自動でHDRがONになると思うのですが、それでも足りていません。

にも関わらず全体的に明るめに振っているため、暗い部分が潰れてしまっているのではないでしょうか。

Nexus 6Pはセルサイズ(≒受光面積)が1.55μmというスマホ最大クラスのセンサを搭載しており、それだけ受光量も多くなっています。(画素は1,230万画素)
そのため、Nexus 6Pが有利ではあるのですが、カメラを売りにしているXperia X Performanceにはもう少し頑張って欲しかったです。

暗所性能もチェック

続いて、暗所性能を比べてみました。

Nexus 6Pは全体が綺麗に撮れていますが、Xperia X Performanceは建物の中や看板が白飛びしています。
品川駅(左:Xperia X Performance / 右:Nexus 6P(HDR:オートON))

こちらもNexus 6Pは全体が綺麗に撮れていますが、Xperia X Performanceは建物の中が白飛びしている上に、画像中央部の川床にいる人の顔が黒つぶれして見えなくなっています。
スターバックス 京都三条大橋店(左:Xperia X Performance / 右:Nexus 6P(HDR:オートON))

比べてみると、やっぱり明るさのダイナミックレンジが狭いような気がします。

暗所撮影は苦手なようですね。

料理の写真で比較

最後に、料理の写真を比べてみました

Xperia X Performanceは明るく、色温度が高い印象です。
そのためか、白飛びとまではいきませんが若干ごはん粒の輪郭が潰れて見えづらくなっています。
麻婆定食(左:Xperia X Performance / 右:Nexus 6P)

こちらは潰れている箇所はありませんが、色味は同様の傾向が見られます。
中華麺(左:Xperia X Performance / 右:Nexus 6P)
前述の通り、やはり全体的に「明るく、白く(=色温度を高く)」という調整になっているようです。

実物と比べてみると、ちょっと強調しすぎかなあという感じがしました。Nexus 6Pの方が近いですが、若干実物より暗めな感じです。

この辺は好みが分かれそうですね。

なお、撮影時にXperia X Performanceが自動で「料理」として認識していたため、「料理」モード独特な調整かもしれません。

対象を自動で「料理」と認識

画像補正が強い?

再び料理の画像です。色合いなどは既に述べた通りの傾向ですね。
定食(左:Xperia X Performance / 右:Nexus 6P)
これを画像がぼやけるほど拡大したのがこちらです。
Nexus 6Pは画像全体の印象と変わらず"そのまま拡大"という感じの素直な画です。
それに対しXperia X Performanceは、全体的にザラザラしとした油絵のような感じで不自然になっています。特に、葉の表面は細かな質感が失われてしまっています。
葉の部分を拡大(左:Xperia X Performance / 右:Nexus 6P)
これはカメラセンサ自体のノイズもあると思いますが、恐らく画像補正の影響ではないかなと思います。

シャープネスやスムージングといった補正をしてより綺麗な画にすることはどの端末でも行われていますが、本機はそれがかなり強力なようです。(逆に、Nexus 6Pはほとんど補正していない?)

そのおかげで冒頭書いた通り拡大したとは思えない精細感を得られるのですが、その反面あまりにも拡大すると不自然な"ザラザラ感"が目立ってしまうのかなと思いました。

とは言え、普段ここまで拡大することはほとんど無いので問題にならないと思います。
この点は良し悪しというより、Xperia X Performanceのカメラの傾向・特性の1つですね。

画作りに関する総評

  • 非常に精細感のある仕上がりで綺麗
  • 明暗差の大きい場面では白飛び(黒潰れ)が目立つ
2,300万画素という超高画素数のセンサを搭載しているため、精細感に関しては非常に有利。
拡大しても破綻することのない画作りで、確かに一般的な場面での撮影性能はかなりのものでした。

しかしながら、明暗差の大きい場面や全体が暗い場面では白飛び(黒潰れ)が目立つ結果に。
綺麗に撮影するには場面を選ぶ必要がありそうです。

Xperiaのカメラは凄い!綺麗!という話をよく耳にしており、実際にCMなどでもカメラ性能をアピールしています。
その割には、そこまで良く撮れないなあという印象でした。

ハイエンド端末として不合格か、と言われれば決してそんなことはありませんが、もう少し頑張って欲しかったです。

画素数よりも画質を

単純に"画素数が多いと画質が良い"と思いがちですが、多いと受光量が減少します。
画素数が増えると、その分配線など無駄な面積も増えます。しかし、全体のセンサ面積は変わらないため、受光面積が小さくなります。その結果、受光量が減るというわけです。

そのため、明るさのダイナミックレンジが不足し、このような白飛び(黒潰れ)が発生してしまうのかなと思いました。

最近では画素数を抑えて受光面積を増やしたセンサを搭載した端末が増えています。
競合となるGalaxy S7 edgeやHTC 10の他、比較に使用したNexus 6Pなどがその代表例です。

これらの端末は1,300万画素前後とそれほど高くない画素数ですが、軒並み高評価を受けています。
そしてご覧の通り、Nexus 6Pの方が白飛び(黒潰れ)がなく綺麗に撮れています。(好みもあると思いますが)

処理などソフトウェア面の影響も受けるので、今回の結果の原因が全て高画素による弊害とは言えませんが、画素数より明るさのダイナミックレンジ(画素の受光面積)といった画質をもうちょっと考えて欲しかったなと思いました。

カメラ機能や気になったこと

ここまで作例を出して性能についてチェックしてみましたが、最後に機能や気になったことについて書いておきます。

様々な撮影モード

基本的な「プレミアムおまかせオート」以外にも様々な撮影モードが搭載されています。
初期状態では右のように10モードだけですが、他にも追加することが出来ます。
様々な撮影モード

フォーカス&シャッターが超高速

ボタンをタップすると一瞬でフォーカスを合わせシャッターが切れます。比較として使用したNexus 6Pより明らかに高速でした。

アンバサダーミーティングでは先読みで予測していると説明がありましたが、その効果は確かにあるようです。

動きのあるものなど一瞬のタイミングが重要な被写体には非常に有効だと思います。

マニュアル撮影も可能

最近の端末ではよく見られるマニュアル撮影にも対応しています。
シャッター速度やISO感度などを任意に設定可能です。
マニュアル撮影

電源ボタンを2回押してカメラ起動可能

Android 6.0からは標準で「電源ボタンを2回押してカメラ起動」機能が追加されましたが、Xperia X Performanceも対応しています。
どんな画面からでも一発起動できるので結構便利です。
電源ボタンを2回押してカメラ起動

Camera 2 APIには"ほとんど"対応

Android 5.0から搭載しているCamera 2 APIにも対応。マニュアルフォーカス / ホワイトバランス / ISO感度 / シャッター速度の変更が可能です。
標準カメラ以外のアプリでも性能を存分に発揮できそうですね。

唯一、RAW撮影には対応していませんでした。標準カメラもRAW非対応です。
RAW以外のCamera 2 APIに対応

4K動画撮影は標準アプリでは不可能

標準カメラアプリでは4K動画撮影は出来ませんでした。解像度の選択肢に用意されていません。

しかしながら、こちらの記事に書いたようにハードウェアとOS的には対応しています。そのため、Play ストアなどにあるサードパーティーアプリでは撮影可能です。

60fpsなフルHDでは"インテリジェントアクティブ"手ブレ補正が使用不可能

Xperiaといえば非常に強力な「インテリジェントアクティブ」という手ブレ補正機能を備えており、アンバサダーミーティングでも紹介されていました。
ですが、このインテリジェントアクティブはフルHD(60fps)では使用できません。

加えてシーンセレクトもOFFにされてしまいます。
左:フルHD(30fps) / 右:フルHD(60fps)

それほど発熱していないのに使用できなくなる

撮影途中でこのように警告が表示され、一部のカメラ機能が使用できなくなることがありました。(特に動画撮影時)
正確には測っていないので体感ですが、動画では数分でこうなります。
温度上昇警告が表示
一部の機能が制限される
しかしどうも納得出来ないのが、カメラ機能を制限するほど発熱しているのかという点です。

確かに熱くなるのですが、じんわりと暖かいという感じで"発熱"というものではありません。
むしろ、Nexus 6Pなどより低いくらいです。
にも関わらず、このような警告が表示されます。

Snapdragon 810を搭載した過去の端末では発熱が相当問題になったそうで、温度に対しては敏感になっているのかもしれませんが、少しやり過ぎなのでは?と感じました。



機能に関してはこんな感じです。
発熱による制限が気になりますが、その他は最近のハイエンド端末としては十分だと思いました。

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