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10.1インチの大画面タブレット「Teclast X10 Plus」―低価格だが、品質に疑問

中国の端末通販サイトGearBestから10.1インチの大画面タブレット「Teclast X10 Plus」を頂いたのでレビューしたいと思います。

Teclast X10 Plus

Teclast X10 Plusは名前の通り、中国のTeclast(台电科技)というメーカーのタブレット端末です。
10.1インチの大画面を搭載しており、製品ページの利用例の通りゲームや動画・写真などメディア向けな端末です。

スペックは、最新世代のIntel Atom x5-Z8300 4コア、2GB RAM、microSD対応などなかなかの高性能。

価格は$135.55=約13,800円と安価です。(2016/9/23時点のレート)

メーカーTeclast
名称X10 Plus
価格$135.55 (GearBest) ※2016/9/23時点、セール等で変動する可能性あり
OSAndroid 5.1 "Lollipop"
SoC
CPUIntel Atom x5-Z8300 1.44GHz 4コア
GPUIntel HD Graphics 200MHz
RAM2GB
ROM32GB
サイズ高さ:162mm / 幅:258.8mm / 厚さ:9.62mm
重さ626.5g
画面10.1インチ / WXGA (1280 x 800) 16:10 / IPS液晶 / 10ポイントタッチパネル
バッテリー7,200mAh
リアカメラ200万画素
フロントカメラ200万画素
microSD対応
接続端子USB / microUSB / 充電用DCコネクタ / 3.5mmヘッドホンジャック / microHDMI / ドッキングコネクタ
無線通信Bluetooth 4.0 / Wi-Fi IEEE 802.11 b/g/n 2.4GHz
スピーカー裏面モノラルスピーカー
グレー (メタルボディ)

配送や梱包について

製品紹介の前に、GearBestの配送・梱包がどのようなものだったか紹介します。

画像にはありませんが、一番外側はお馴染みのDHLの袋で包まれていました。
袋を開けるとダンボールの箱が入っています。そして、その中にプチプチ素材の袋、更にエアークッションで包まれた製品が入っていました。
合計4層(緩衝材は3層)の梱包となっており、非常に厳重でした。前回よりも丁寧な梱包です。
合計4層(緩衝材は3層)という厳重な梱包

パッケージと内容物

「ULTRAPAD」の文字が目立つパッケージです。
左上にメーカーである「Teclast」のロゴ、左下に搭載CPUの「Intel」ロゴが入っていますね。
前述のように厳重な梱包だったにも関わらず、箱の角が潰れていました……。
多分、発送時点でこうなっていたのでしょう。今回はサンプル品ということだったので、そのせいなのでしょうか。
パッケージの角が若干潰れていた
裏面にはスペックが書いてあるはずなのですが、何故かシールで隠されているようでした。
裏面にはスペック表記が無いように見えるが…
上からシールを貼っているのか、下に薄っすらと何かが書かれている
開けるとまずは本体が目に入ります。薄いビニール袋に包まれていました。
ちなみに、蓋の裏側にはスポンジが貼り付けられており、傷付けないように配慮されているようでした。

内容物は本体の他に、microUSB OTGケーブル、microUSBケーブル、USB-DCコネクタケーブル(充電用)、説明書などが入っていました。
説明書や付属品は本体の下に入っています。説明書は英語か中国語で書かれており、日本語は一切ありませんでした。
内容物一覧
なお、画面には最初から保護フィルムが貼ってありますが、開封時点でキズや気泡だらけでしたのであまり期待しないほうが良いと思います。
裏面にも保護フィルムが貼られていますが、こちらはあくまでも輸送時等に保護するためのものなようです。
気泡が混入した保護フィルム
フィルムは簡単にはがせる

前面・背面

全体的に角ばった形をしており、まさに"タブレット"といったデザインです。
前面カメラは中央上部にあります。200万画素とかなり少ないですが、ビデオチャットなどで使うなら十分なレベルです。

左上には通知LEDが内蔵されていますが、非常に暗いです。周りを暗くしてやっとわかると言う程度でした。
通知LEDはあるが、非常に暗い
ガラスはエッジまで覆っていません。角が面取りされラウンドしたプラスチックにツライチで繋がっています。
このような構造で、2.5Dエッジ(ラウンドエッジ)風なデザインになっています。
ラウンドしたプラスチックで2.5D風なデザインに
続いて背面。基本的にシルバーの金属製(アルミ?)で、一部はホワイトのプラスチックとなっています。
裏から見て、背面カメラが左上に、スピーカー(モノラル)が右下に配置されています。
シルバー(金属)とホワイト(プラスチック)で構成された背面
金属面はザラザラと荒い感触です。同じ金属背面のNexus 6Pと比べると、非常に安っぽいです。
ザラザラとして安っぽい金属面
こちらも前面同様ラウンドしています。
短辺と長辺で曲率が異なっており、長辺はやや角ばった感触。
一方、短辺はかなり丸くなっており、手にフィットして持ちやすいです。基本的に横長で使用すると思うので、この状態で持ちやすくなっているのは良いですね。
ラウンドしたエッジ
カメラ部分は窪んでおり、面取りされた金属で縁取りされています。
こちらも前面同様200万画素なので、写真撮影ではなく、ビデオチャットなど向きです。

画像のように、音量ボタン、電源ボタン、microHDMI、microUSB、イヤホンジャックなどなど全ての位置にアイコンが印刷されています。

わかりやすいのですが過剰です。このせいで安っぽさが増しています。
機能部全てにアイコンが印刷

側面

マイクとmicroSDカードスロットが配置されています。マイクは他に見当たらず、ここ1箇所だけにあるようでした。
左から、マイク、microSDカードスロット
下にはPOGOピンがありました。
本体には同梱されていませんでしたが、別売のキーボードドックと接続できるようです。
キーボードドックと接続可能
電源、音量ボタンといった操作系は右側面(裏から見ると左)に配置されています。
押した感触はあります…が、カタつきが酷く、上から軽く叩くとカチャカチャ音がします。操作には問題ありませんが、作りが雑です。
電源ボタンと音量ボタンが配置された右側面
USBなどの接続系は左側面に配置されています。
なんと、フルサイズのUSBが搭載されています。しかも、microUSBも別途搭載というかなり面白い構成です。
それ以外には、イヤホンジャック、microHDMI、DCジャック(5V・充電用)が搭載されています。
右側面(左から、電源ボタン、音量ボタン)

OSはほとんど素のAndroidを搭載

本機はAndroidを搭載しています。元々マルチランゲージ対応なOSなので、もちろん日本語設定が可能です。
見ての通り、デザインは基本的にAndroid標準そのままです。ナビゲーションバーがカスタマイズされているものの、ほとんど素のAndroidですね。
Android標準のUIデザイン
一部カスタマイズされているが、ほとんど素のAndroidそのまま
Google Playストアが最初から入っています。よくわからないアプリもありますが、プリインはかなり少ないです。
少ないプリインストールアプリ
また、これらはほとんど削除可能でした。
「ダウンロード済み」に表示され、アンインストール可能
バージョンはAndroid 5.1。十分使えますが、ちょっと古いですね。
Android 5.1を搭載
ストレージの空きは約24GB。microSDカードを用意しなくても普通に使えそうです。
ストレージには余裕がある
メモリの空きは1.3GB。プリインアプリが少ないためか、かなり空いています。
初期状態ではメモリの空きは1.3GB
位置情報を見てみると、「バッテリーを節約」しか選択肢がありませんでした。
GPSを搭載していないので、Wi-Fiスポットによる大まかな位置情報取得にしか対応していないようです。
Wi-Fiスポットによる大まかな位置情報取得が可能
ちなみに、「ディスプレイ」の中に「@2131298778」という謎の項目がありました。タップしてみると強制終了してしまいます。
何かを実装しようとして、その途中なのでしょうか?
「@2131298778」という謎の項目

買ったらまずは初期化を

初めて電源を入れたにも関わらず、初期設定画面が表示されず、いくつかのアプリが履歴画面に残っているなど既に使用されていた形跡がありました。

恐らく検品や動作確認のため、メーカーか販売店がセットアップしたものと思われます。
(GearBestは発送前にチェックしているそうなので、今回は販売店かもしれません)

無いとは思いますが、意図しないアプリやソフトがインストールされている可能性もあるため、まずは初期化することをオススメします。

初期化は設定メニューから可能です。

実際の使用感

動作はサクサク、発熱はあるが酷くはない

AnTuTu Benchmark」は約57,500点でした。約$135という価格だけを考えると、かなり優秀な性能です。
「AnTuTu Benchmark」は約57,500点
実際の動作もかなり良好で、しっかりと指の動きに付いてきていました。タップやスワイプも遅延なく位置も正確に認識しています。

Implosion」や「Real Racing 3」、「アイドルマスター シンデレラガールズ スターライトステージ」といった重めな3Dゲームを試してみましたが、最高設定にしてもサクサク動作
試したタイトルが少ないため全てのゲームがサクサク動くとは言えませんが、普通に遊ぶ分には全く問題ないと感じました。

ただ、「アイドルマスター シンデレラガールズ スターライトステージ」に関してはデフォルトでは「2D軽量」が選択され、「3D標準」にしても若干画が荒いような印象でした。
「アイドルマスター シンデレラガールズ スターライトステージ」を3D標準で快適にプレイ可能 

また発熱に関して、正面から見てカメラの左側辺りが発熱するものの、持っていられないほど酷くはありません。
金属筐体のおかげか、放熱がしっかり出来ているようでした。

Pokémon GOなど起動できないアプリがある

動作が良好な一方で、Pokémon GOやVOEZなどいくつかのアプリは起動できませんでした。

Pokémon GOの場合、Nianticのロゴは表示されるのですが、強制終了されてしまいます。
と言っても、GPS搭載していない本機では、起動できてもまともにプレイするのは難しいのではないかと思いますが。
Pokémon GOなどは起動できず
いろいろ試しましたが、バッテリー残量表示などの実用系アプリより、3Dグラフィック描画を行なうゲームアプリが動かないような気がしました。

本機は多くのAndroid端末(ARM)と異なり、Intel Atom(x86)をCPUとして搭載していることが原因かもしれません。

アプリによっては何故か上下反転する

アプリによっては何故か上下反転してしまいます。本体を回転させても必ずその逆になります。

確認した限りですが、「Implosion」と「アイドルマスター シンデレラガールズ スターライトステージ」でこの現象が起きました。

起動前に画面の自動回転をOFFにすれば固定できるのでなんとかなりますが……それにしてもおかしな現象です。
本体の"上"を上にした場合でも反転
本体の"下"を上にした場合でも反転

microUSBとDCコネクタのどちらでも充電可能

USB-DCコネクタケーブルが付いているので、DCコネクタでないと充電できないのだろうと思っていたのですが、microUSBでも充電できました。

しかし、充電速度が遅く、かなり時間がかかります。microUSBでの充電はあくまでも補助的なものだと考えておいたほうがいいです。

持ちやすさは良いが、重い

途中にも書きましたが、短辺のラウンドは手にフィットし、横持ち状態はとても持ちやすいです。

しかしその一方、スペック表にもある通り重さは600gを超えています。
結構ずっしりで、長時間そのまま持っていると流石に腕が疲れます。

スピーカーが貧弱

裏面を手前に向けている状態では普通なのですが、画面を表にしてしまうとちょっと小さいかな?と感じます。また、低音が弱く、安っぽい感じです。
テーブルなどに直置きして、音を反射させると多少マシになります。

画面が大きく、メディア向けなタブレットと思っていたのですが、その割には貧弱だと感じました。

液晶とガラス表面との隙間が大きい

液晶表示面とガラス表面との隙間が大きいと感じました。一昔前の液晶画面ですね。
実際に使用する分には全く問題ありませんが、やはり安っぽいなと感じます。
液晶面とガラスとの隙間がかなり大きい

品質で気になる部分が多数

いろいろと気になる部分があったのですが、特に気になった部分をいくつか挙げてみました。

画面内部にゴミが混入

液晶表示面とガラスとの間にゴミが混入していました。しかも、画面の複数箇所にです。
画像のように目で見てすぐにわかる大きさのゴミもありました。

今まで様々な端末を触ってきましたが、こんなのは初めてです。
画面内部にゴミが多数混入(中央の白い点)

隙間からビニールがはみ出ている

金属部とプラスチック部の隙間からビニールのようなものがはみ出ているところもありました。
組立時にしっかり除去していなかったのでしょうか。
隙間からビニールがはみ出ている(POGOピンの右下辺り)

成形加工時のスジがある

上下の側面に成形加工時に出来たと思われるスジがありました。

実用上は全く問題無いので気にしなければいいのですが、大手メーカーの製品ではこのような成形スジはありません。
上下の側面に成形スジが見られる

画面に異常な輝点がある

右下のエッジ付近の異常な輝点がありました。かなり目立ちます。
画面上に異常輝点が

普通、精密機器の組み立てはクリーンな環境で行われる上、メーカーが出荷時に検品を行うはずです。
そのため、こういったゴミ混入やはみ出たビニールなど目で見てわかるような不良品は市場に出回らないのですが……一体どんな体制で製品を作っているのでしょうか。

価格と性能は良いが、全体的に低品質

3Dゲームもサクサク動作し、性能はカタログ通り非常に快適価格を考えると十分すぎる程の動作性能です。
貧弱なスピーカーが少し残念ですが、メディア向けタブレットとして十分に活躍してくれそうです。


その一方、品質は非常に低いです。
画面内部のゴミ混入、はみ出たビニール、成形スジなどなど……気にしだしたらキリがありませんがとにかく低品質です。
販売店(GearBest)は発送時にチェックしているそうですが、本当にそうなのか疑わしいですね。

また、謎の設定項目や上下反転する画面といった問題があり、ソフトウェアも十分に作り込まれていません

元々の作りや部材が安っぽいのは低価格だから仕方ないとしても、だからと言って品質を疎かにしていい訳がありません。
「高性能パーツを載せて、動作するように適当なソフトを作り、適当に組み立てただけ」という感が否めない製品です。


iPadやNexus 9などの大手メーカー製タブレットと同じ使い勝手を期待している方には全くもってオススメできません。買ったら非常に後悔すると思います。


ただ、価格に対する動作性能が素晴らしいのは間違いありません。たった13,000円程度でこれだけ動くのは驚異的です。
「品質は全く気にしないが、とにかく安く、高性能な端末が欲しい」「トラブルが起こっても自分で対処できる」という方ならば、本機を十分に使いこなせるのではないかと思いました。


Teclast X10 PlusはGearBestなどの端末通販サイトにて販売されています。

参考にした情報

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